2015/07/06

【ゴーン・ガール】つまり夫婦はミステリーということ


どうも rintaroです
ゴーン・ガールを観ました。

「お互いに憤り、支配しようとし、傷つけ合うだけだった」

「それが結婚よ」



このシーンのためだけに、観てよかったと思えるくらい刺さった。

夫に計画的に妻殺しの濡れ衣を着せ失踪、窮地を救ってくれた元交際相手のストーカーを殺し、夫のもとへ返り血にまみれたまま戻る。
紛れもないフィクションのなかにあって、「夫婦とは」があんなリアルに見えたのはなぜだろう。



夫の浮気が妻を駆り立てたのなら、妻のいうとおり夫にも罪があるのではないか。

妻は夫の地元に引越したときから次第に自分が消えていくようだ、自分の存在が感じられなくなっていったと言う。
それは殺人だと断言する。

妻の感じたダメージは共感できる。
それがプライドを傷つけられたという一種幼稚な怒りが発端だったとしても。
自分から自信を奪う人をパートナーとする苦しみは、耐えがたい。


二人に必要だったのは「結婚は失敗だった」と認めることだったんじゃないか。
ここでもプライドが足枷になったのか、失敗したということを二人とも受けいれることができなかった。

諦めてばかりでは何も得られないだろうけど、夫を殺人罪に仕立てあげるよりわたしは諦めるが。
(そこまでしてでも切れないのが夫婦なんだろうか)


もうひとつ。
妻が元交際相手を殺したのは夫のもとへ戻りたいがためだった。
あんなに恨んでいたはずなのに。なぜ。

そもそも夫が浮気したのは妻の執着を息苦しく感じたから。
それは夫本人ではなく"理想の夫"への執着。

ワイドショーで夫が演じた妻の発見を願う"理想の夫"を見た妻は夫のもとへ戻る計画をすすめる。
「これだ…」と目がギラついていた。
妻は最後まで理想を捨てられなかったし、そのための死も選択にあったとおもう。


理想とプライドを捨てられなかった話だったんじゃないだろうか。



そうしてまた夫婦で暮らすことになりました。
というあのエンディングをわたしはハッピーエンドだとは思えなかった。
殺人こそないが、いざこざからああいうふうに気持ちにフタをする夫婦は現実にもいるんじゃないだろうか。
そうだ。フタをしたまま続いていく。
正確にはエンドしていない。

あのまま続いてしまう、夫婦関係こそが他人にとってはミステリーなのだとおもった。